長いものには巻かれろ! ~デイヴィッド・R・エリス「スネーク・フライト」 (2006年)
2007-03-09 17:00:00
今回は直球で行きます。
どんな映画か、まずはそこからご説明。
はじまりは、ハワイ。
山道をバイクで飛ばしていた青年が、偶然、マフィアの殺人現場を目撃。
彼は証言を求められ、FBIの捜査官に護衛されて、
空路、LAに向かいます。
そうはさせじと、マフィアは、青年殺害のため、数千匹の毒ヘビを機内に放ちます。
大量のヘビと、捜査官(サミュエル・L・ジャクソン)たちとの戦いが勃発!
いやー、なんでこんなに興奮するんでしょうか、この映画。
密閉空間+空中飛行+恐怖生物+大量発生+高速移動、と、
シチュエーションとしては怖くなる要素をムダにたくさん
含んでおきながら、ドキッとする場面は2、3箇所。
いや、怖いっちゃあ怖いんですよ。
頭から丸呑みにされたりしますし。
のど笛に食いついてきますし。
狭い隙間から這い出てきますし。
ただ、死体がごろごろ転がっていても、どうも、ふざけ半分な感じ。
もちろん、こうした映画の場合、一生懸命、本気でふざけることこそが
マジメな態度なのだと思います。
飛行機にはよく、非常時に自動的に頭の上からおりてくる酸素マスクが
備え付けられていますが、そのマスクと一緒に、
機内にいっせいにヘビが降り注いでくるところなど、
「そうこなくっちゃ!」
と思わず拍手喝采したくなるほどです。
(誰に? ヘビに?)
そういう「お約束」な映画ですから、
パイロットが無事でいられるはずはありません。
副操縦士ともどもヘビの襲撃を受けて、ダウン。
機内にはヘビがウヨウヨ、飛行機は墜落しかかってフラフラ。
とまあ、こういう具合になります。
いかにもB級映画らしい、痛快な(安易な?)解決方法でもって
ヘビは退治され、飛行機は無事に着陸してしまうわけですが。
そこで「ありえねぇ!」と激怒するようなひとは、
きっとこの作品に向いてなかったひとです。
ごめんなさいね。
そもそも、ヘビが飛行機にウヨウヨする映画に、
人生の教訓やなにかを求めてはいけません。
ただし、1時間半のヒマつぶしとしては、まずこれ以上のものを
望んでは、バチがあたるといえましょう。
Category : 余裕!お子様でもOK横わけの殺人者 ~森一生「ある殺し屋」(1967年)
2007-03-06 17:00:00
名前はよく耳にするけれど、本当のところはどんな感じなのか、
よく分からない職業。
その筆頭に挙げられるのが、「殺し屋」でしょう。
ベテラン監督、森一生の代表作のひとつであるこの映画。
主演は、時代劇を中心に活躍した市川雷蔵。
37歳の若さで亡くなっており、いまでも根強いファンを持つスタアです。
さて、雷様(「らいさま」とお読みください)扮する主人公、
殺し屋といっても、ヤクザやはぐれ者ではありません。
なんと、ふだんは小ぢんまりとした小料理屋の主人。
髪を七・三に整えた、横わけハンサムなのです。
殺し屋としても天才的な腕を持ちながら、
自分の意に染まぬ依頼は決して受けようとしない。
そして、引き受けても、自分の納得行くやり方でしか仕事をしない。
まあ、なんというか、殺し屋界のブラックジャック的存在。
さて、この作品では、雷様が殺しを引き受けるわけですが。
そこにあらわれた小悪党がふたり。
食い逃げしかかっていたところを雷様に拾われた女(野川由美子)と、
雷様に仕事を依頼してきた組の男(成田三樹夫)。
雷様にウザがられながらも、雷様に惚れこみ、つきまとうふたり。
とはいえそこは小悪党ですから、惚れこみつつも、
隙あらば出し抜こうとケチな作戦をくわだてます。
まあ、雷様はそんなことはとっくにお見通しなわけで、
さて、どうなりますことやら。
なんといっても、小料理屋と殺し屋という、
表と裏のふたつの顔を持つ雷蔵のクールさがたまらない1本です。
カメラも音楽もどことなくヨーロッパ風のテイストをかもしだしていて、
確実に昭和の香りを漂わせながら、それでいてバタくさい。
おしゃれ映画に分類してもいいと思います。
小料理屋だけど。
見どころのおまけとしては、小料理屋のお手伝いさんにご注目。
若き日の小林幸子さんが働いています。
いまとは違った地味なお姿にびっくりすること間違いなし。
また、続篇として「ある殺し屋の鍵」も製作されています。
こちらでは、雷様の本職は日本舞踊の師匠。
どうぞ、2本あわせて、ご堪能くださいませ。
Category : 余裕!お子様でもOKB級映画の巨匠が放つゾンビ・ウェスタン ~ジョン・カーペンター「ゴースト・オブ・マーズ」(2001年)
2007-01-10 17:00:00
大量のゾンビが、画面狭しとうようよ。
それなのに、あんまりこわくない。
いや、ぜんぜんこわくないといってもいいでしょう。
そんな映画です。
舞台は2176年の、火星。
殺人事件の容疑者を護送せよとの指令を受けて、
5人の警官隊がとある鉱山に派遣されます。
西部の開拓村のような、殺風景な新開地。
列車を降り立つと、金曜の夜だというのに、街には人影なし。
実は、封印されていた火星人の幽霊(なのでしょうか?)が、
入植している地球人にとりつき、ゾンビ化していたのです。
で、その大量のゾンビと少数の地球人との戦いを描いたこの映画……
とにかく、もー、ぬるい!
お互い、凝った作戦とか、戦略とか、ないです。
ゾンビはただ数にまかせて襲ってきたり、建物に火を放ったり。
人間は銃やダイナマイト、刃物や蹴りで応戦。
あげくのはてに、原発を爆破してゾンビを退治。
いい大人の作る映画とは思えません(ほめています)。
で、そのゾンビ。
なぜか顔を白く塗ったり、ハデに着飾ったり。
バックに終始流れるのは、もっさいヘヴィメタ。
意味不明のおたけび(火星語?)をあげつつ迫ってきます。
ゾンビなだけあって、一応そこそこ強いので、
仲間は次々に死んでいきます。
しかしそんなこと、この映画にとってはどうでもいいみたい。
「あ、また死んだ」くらいの感じです。
手に汗にぎるハラハラドキドキの展開や、
ショッキングな映像ももちろんいいものですが、
見すぎると心臓に負担がかかります。
川原での不良同士のケンカを遠くから見ているような、
こんな映画も悪くない。
「またやってるなー」程度のもんです。
「ゼイリブ」「遊星からの物体X」などで知られる
B級映画の巨匠、カーペンター監督が21世紀に放った
最初の作品である本作。
青山真治、蓮實重彦といったインテリ系の監督や批評家たちが
大絶賛を浴びせています。
白塗りのヘヴィメタ・ゾンビたちのどこがそんなに
彼らをひきつけるのか、考えながら見てみるのも
また一興かと。
Category : 余裕!お子様でもOK「なつかしい」にご用心! ~原恵一「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲」(2001年)
2006-12-29 17:00:00わんぱくロジャーのぬれぎぬ大冒険 ~アルフレッド・ヒッチコック「北北西に進路を取れ」(1959年)
2006-12-15 17:00:00「おっかないひと」がいた時代 ~李相日「フラガール」(2006年)
2006-11-06 17:00:00
昭和は遠くなりにけり。
常磐ハワイアンセンター(現・スパリゾートハワイアンズ)の
誕生秘話を描いた映画「フラガール」(李相日監督)を見て、
そんなことを思いました。
蒼井優ちゃんや、しずちゃんちゃん(南海キャンディーズ)たちが
いっしょうけんめい練習して、フラダンサーになる話です。
舞台は福島県の常磐炭鉱。時代は昭和40年。
わたし、石炭・炭鉱モノの映画が好きでして、
ボタ山とか出てくると嬉しくなってしまうのですが、
それはともかく。
この映画、最近ではすっかり見かけなくなった、
「おっかないひと」のオンパレードです。
まず、東京からやってきたダンスの先生、松雪泰子がおっかない。
まさに“鬼コーチ”という感じ。ビシバシしごきます。
ダンスを習いに来る娘さんの親御さんたちも、おっかない。
フラダンスはまだ物珍しかったのでしょう、
ストリッパーと混同して、そんなん許すかい、とばかりに
ビンタの応酬。
となると、松雪先生も黙っていません。
可愛い生徒にビンタを食らわしたその父親を探しに、
単身、ずんずんと銭湯の男湯に乗り込んでいきます。
(混浴じゃないです)
そして発見すると、湯船の中へと殴り込み!
(着衣のままです)
一事が万事、こんな具合。
ただ、納得できるかどうかは別にして、みんな「おっかなさ」が
真っ当だから、見ていていやな感じがしないのですね。
得体の知れない変質者がうろうろしている21世紀が
家庭で作ったべちゃっとした焼き飯だとすると、
この映画の世界は、強火で仕上げた中華料理屋のチャーハン。
こわいにゃこわいけど、夕立みたいに、
通り過ぎればからりと晴れ上がる。
そういえば、わたしが子供のころは、こういうひとたちがいたなあ。
懐かしくてこわい、いわばナツコワです。
あと、完全な蛇足で……。
クライマックスの見事なダンス・シーンで、蒼井優ちゃんが、
座った姿勢から背中をぺったりと床につけて倒れこんで、
そこからまたゆっくりと起き上がってくるアクションがあります。
白の衣装だったもんで、ここ、ちょっと幽霊ぽい。
要チェックです。
1
footer ads here Powered by ちびログ
footer ads here


