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本当の戦争の話をしよう ~増村保造「赤い天使」(1966年)

2007-01-30 17:00:00 Category : 激コワ!覚悟はいかが?

大ヒットを続けている、クリント・イーストウッド監督の「硫黄島からの手紙」。

ご覧になったみなさんも多いことと思います。

わたしも見ましたが、どうももどかしさが残りました。

アメリカ人が手袋をして握ったSushiを、

ナイフとフォークで食べさせられているような感じ。

 

で、今回は、日本人の、日本人による戦争映画をご紹介しましょう。

監督は増村保造。

東大を一度出たあとまた入り直し、2回も卒業した、すごいおひとです。

主演は若尾文子。

増村とは、20作品でコンビを組んでおり、そのほとんどが傑作です。

 

さて、この「赤い天使」、舞台は第2次大戦中の中国戦線です。

若尾が演じるのは、野戦病院の看護婦、西さくら。

前線で傷ついた兵士たちが次々に運び込まれてくる場所。

しかし、ロクにベッドもない、薬もない、人手もない。

ではどうするか?

 

助かりそうな者には最小限の治療をほどこし、

助からない者は、見捨てるのです。

で、その最小限の治療、とは?

 

体の中に入った弾を摘出したり(麻酔なし)、

壊死した手足をノコギリでギコギコ切り落としたり(麻酔なし!)。

モノクロ画面なのに、血の色が目に焼きつきそうなほど。

まるで物体のように横たわる兵士たち、

角材かなにかのように積み上げられた死体。

背筋が震えます。

 

そんな壮絶な日々の中、さくらは、手を失った兵士(川津祐介)の

性の処理を手伝ったり、軍医(芦田伸介)と恋に落ちたりと、

おそるべき生命力のうごめきを見せます。

ひとりの看護婦を超え、ひとりの女を超え、

それはまるで、若尾文子という一種の生物のように。

 

戦争ですから、バタバタとひとが死んでいきます。

兵士たちが死に、軍医が死に、目をかけていた若い看護婦が死ぬ。

それでもさくらは生き残ってしまいます。

生き延びれば生き延びるほど、それが異常な出来事であると

気付かされる場所、それが戦場なのです。

 

これに比べれば、イーストウッドの描く戦争は、

さしてこわくない、ママゴトの世界のように思えてきます。

わたしはさっき、「日本人の、日本人による戦争映画」と書きました。

この映画を、そしてほかの数々の日本の戦争映画を、

「日本人のためだけのもの」にしておくのはもったいないし、

また、よくないことだ、と強く感じます。

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