山椒は小粒でピリリと怖い ~スタンリー・キューブリック「非情の罠」(1955年) | Main | たらーり、あぶら汗 ~アンリ=ジョルジュ・クルーゾー「恐怖の報酬」(1952年)
地味だけど、不死身。 ~塚本晋也「鉄男~TETSUO THE IRON MAN~」(1989年)
2007-02-21 17:00:00 Category : ややコワ!ご用心
怖いことは、怖い。
ただし、それよりも、むやみやたらなパワーに圧倒されます。
好き嫌いが分かれる作品ですが、一度ツボにはまったひとにとっては、
生涯忘れられないかもしれません。
そんな強力な1本です。
直球まっすぐストレートなタイトルがあらわすとおり、
とにもかくにもこの映画、主人公の男(田口トモロヲ)の体が
鉄に侵蝕されていく有様を描いています。
きっかけは、ある日、“ヤツ”をひき逃げしてしまったこと。
ひき逃げ後、男のほっぺたに金属のニキビが出現。
そこをとっかかりにして、次第に肉体が金属化していきます。
怒りと悲しみにくれ、街を放浪する主人公。
そうこうしているうちに、体の大半が鉄になります。
そして彼の前に、ひき逃げしたはずの“ヤツ”が登場。
“ヤツ”もまた、金属化した体を持っています。
ふたりの鉄男のバトルがここに勃発!
とまあ、お話はだいたいこんな具合です。
が。
そのへんは、あまり気にしなくてもよろしいかと。
味わうべきは、都市にちらばる金属製の廃物をかたっぱしから
身にまとったような、鉄男の見てくれです。
かなり不気味でありつつ、同時に、
究極の進化を遂げた未来の人間像のようでもある。
(だとしたら、ヤですけど)
低予算のモノクロ作品につき、鉄男の造型はすべて実写。
CGもワイヤーアクションもなし。
ローテクな特撮ですべてがまかなわれており、
その手作り感に、妙な興奮と恐怖をかきたてられます。
ちょっとアレなたとえですが、ヘアヌードよりも
風にめくれたスカートからのぞいた太もものほうに
萌えるような感じ、といえましょうか。
とことんグロテスクなのに、ところどころ大爆笑もできる、
ある意味お得なこの映画。
ミニシアターで意外なヒットを飛ばし、
ローマ国際ファンタスティック映画祭ではグランプリを獲得。
塚本監督の出世作となりました。
あのタランティーノ監督もファンのひとりなんだとか。
余談です。
自分の中ではこれ、「最近の映画」っていうくくりなんですが、
考えてみたら、20年近くも前なんですね。
作中に出てくる黒電話に、なつかしさを覚えました。
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