復讐!逆ギレ娘 ~西河克己「霧の旗」(1977年) | Main | 長いものには巻かれろ! ~デイヴィッド・R・エリス「スネーク・フライト」 (2006年)
家族、親族、油断禁物 ~三隅研次「女系家族」(1963年)
2007-03-15 17:00:00 Category : 激コワ!覚悟はいかが?
わたくし関東モンなので微妙なニュアンスが分からないのですが、
関西的なコワさってのが、ときどき、ありますね。
この「女系家族」、いわばそういった、関西系ファミリー・ホラーです。
(以下、ラップ風に)
Yo!
舞台は、大阪、老舗商店!
そこのご主人、ぽっくり昇天!
親族一同、ビックリ仰天!
娘三人、すっかり動転!
(ここまで)
えー。
娘たちの母である、主人の妻はすでに亡くなっていたため、
本来なら、相続権は娘たち(京マチ子など)にあります。
ところが、大番頭(中村鴈治郎)が主人の遺言を読み上げると……
なんと、亡くなった主人には愛人(若尾文子)がいたと分かります。
もし子供でもできていようものなら、
莫大な遺産の半分はそちらに行ってしまう。
そうはさせじと、三姉妹、番頭、叔母(浪花千栄子)、踊りの師匠(田宮二郎)
などがぐちゃぐちゃに入り乱れての遺産争奪戦が始まります。
親戚だから、家族だから、なんて遠慮は一切なし。
がめつく、えげつなく、もらったモンの勝ちやでー、
というわけで、ひとの箪笥はかき回すわ、
美術品はこっそり隠すわ、店の財産は横流しするわ。
それこそ、家中全員犯罪者、くらいの勢いです。
見どころはなんといっても、大番頭の中村鴈治郎(中村玉緒のお父上)と
叔母の浪花千栄子のやり取り。
「腹黒い」だとか、「腹の探りあい」といった言葉はこのふたりのために
あるのでは、と思ってしまうほど。
都合の悪い話になると急に耳が遠くなるという、
鴈治郎のオトボケぶりが最高です。
対して、浪花千栄子の行動はとにかくストレート。
あいさつに来た愛人・若尾文子の腹部をにらみつけ、
羽織の上から、「ややこがおるのんちゃいますか!」
と見破ってしまいます。
おそるべき眼力。
(「めぢから」ではなく「がんりょく」)
浪花が若尾あややにするとんでもない仕打ち、
そして、あややの鮮やかな反撃については、説明は差し控えておきます。
ぜひみなさまの目でご確認を。
古き良き富裕階級ならではの、ゴージャスな和服の着こなしは
目に美しいことこのうえなし。
そんなひとたちが欲に駆られて、
エゴをむき出しでのた打ち回るのですから、おもしろくないはずがない。
というわけで、今回いちばんこわいのは、「人間」でありました。
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