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わんぱくロジャーのぬれぎぬ大冒険 ~アルフレッド・ヒッチコック「北北西に進路を取れ」(1959年)

2006-12-15 17:00:00 Category : 余裕!お子様でもOK

「恐怖」と「ユーモア」。このふたつの感情、一見、水と油のように思えます。とはいえ、感動のあまり大笑いしてしまったり、かっこよすぎて爆笑してしまったり。人間、感情の針が振り切れると、自然と笑い出してしまうもの。と、いうことは。怖すぎて笑い出してしまう場合もあるんじゃないか。てなことを考えて、ヒッチコックが映画を撮っていたかどうかは分かりませんが。ともかく、このサスペンスの巨匠は、そのユーモア感覚においてもかなりのセンスの持ち主でした。
 
今回は、彼の最高傑作の1本、「北北西に進路を取れ」です。ストーリーはごくごくシンプル。主人公はとある広告マン、ロジャー(ケイリー・グラント)。ひょんなことから、スパイに間違われ、殺し屋組織に狙われるハメになります。酒をしこたま呑まされて殺されかかったり、飛行機に追いかけられたりとさんざんな目にあいます。警察にも信じてもらえず、逆に殺人犯と間違われる始末。そんなロジャーくん、アメリカ大陸を転々とするあいだになぜか美女(エヴァ・マリー・セイント)と知り合い、彼女と行動を共にすることになりました。はてさて、ロジャーくんの運命やいかに。美女とのロマンスは成就するのか?
 
こう書くと、ご都合主義のバカ映画のようですけど。うーん、むしろアドベンチャー・ゲーム的な感覚ですかね。「迫り来る強敵をうまくかわして、次のステージに進め!」みたいな。ですから、見ているわたしたちは、手に汗握りつつ、「おー、ロジャーまたクリアしたよ。やるなー」「次の面は難しいらしいよ」「おっ、隠れキャラのオカンが出た」などとポテトチップスでも食べながら楽しんでしまえばよいわけです。
 
なにしろヒッチコックといえば、ハリウッドの大ボス的存在。その彼が繰り出してくる敵の数々、そうやすやすとクリアはさせてくれません。しかし、われらがロジャーくん、表情を変えずに黙々と敵を出し抜いていきます。その様子はどこか人間離れしていて、やっぱりゲームのキャラクターに近いものがある気がします。ぬれぎぬをはらすことも、途中からどうでもよくなってきますし。
何食わぬ顔でそんな映画を作ってしまうヒッチコック。監督、あなたがいちばん怖いです!

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