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とりかえしのつかないことについて ~ジャン=リュック・ゴダール&ジャン=ピエール・ゴラン「万事快調」(1972年)
2006-12-23 17:00:00 Category : プチコワ!カップル向けゴダール、という名前を聞いたことがあるでしょうか。いまでも、その名前はまるで呪文のように、ひとびとのあいだを飛び交っています。まず、「難解」。そして、「オシャレ」。もしくは、「革命的」。さもなくば、「ユルコワ」。おっと、そんなことを言っているのはわたしだけみたいですが。そもそも、難解でいてオシャレ、なんてあるのかしらん。
ではさっそく、「万事快調」、見てみましょう。かいつまむと、こんな話です。とある惑星の、とある国(フランス)にあるカップルがいます。彼(イヴ・モンタン)は映画監督で、食べるためにCMの仕事をしています。彼女(ジェーン・フォンダ)は、ラジオ局で働くジャーナリスト。このふたり、どうもうまくいっていない様子。そんなふたりが、ある日、彼女の仕事で、食肉製造会社の社長にインタビューをしに行きます。折り悪く、その日はストの真っ最中。労働者が、社長を工場に軟禁していたのでした。ふたりも巻き添えを食って、一緒に軟禁されます。やがてふたりは、あまりにもあっけなく釈放されます。めでたし、めでたし。
……となればいいのですが、そうはいきません。いったんこの事件を通過してしまったふたりは、もはや以前のふたりとは別の存在なのです。同じ家に住み、同じ食事をしていても、関係は微妙な変化を遂げ、見ている先は別の場所。「覆水盆に還らず」とはこのことです。
思えばわたしたちも、多かれ少なかれ、このカップルと似た経験をしながら、馬齢を重ねていきます。一度起こってしまったことは、とりかえしがつかない。でも、それはそれとして、どうにかこうにか進んでいく。よく知っているつもりでも、あらためて目の前に突きつけられると、ひどくぞっとする話。まあそうした、ほとんどやるせなさだけでできあがったような映画が、この「万事快調」なわけです。じんわりとボディ・ブローのように効いてくるおそろしさ。ですから、人生の山や谷を知ってからのほうが、よーく味わえるかもしれませんね。
で、オシャレなのか?についてですけど。これはずばり、オシャレでしょう。とにかく画面にちりばめられた色、色、色!白と青と赤が目にまぶしい。そう、フランスの国旗の色、トリコロール。これはフランスの映画だと強烈に主張していますが、それと同時に、見ているわたしたちの映画でもあるのです。
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